米田透 俳句集(2016年)

響焔2016年1月号(No.571)

青焔集

帯状疱疹    (横浜)米田 透

神経のブロック治療秋の蜂
秋晴れの富士河口湖野外護摩
重症の帯状疱疹秋の風
体育の日ほうとう南瓜葱しめじ
自転車のタイヤに空気暮の秋


響焔2016年2月号(No.572)

青焔集

珈琲の焙煎    (横浜)米田 透

行く秋や返還された基地広く
正面に目印の塔暮の秋
珈琲にココナツオイル冬初め
水底がくっきり見えて冬の川
珈琲の焙煎を待ち冬の暮


響焔2016年3月号(No.573)

青焔集

冬うらら    (横浜)米田 透

冬うらら地元野菜の直売所
豪快かつずぼらにポトフ十二月 (和田浩一抄出)
骨抜きの鯖の塩焼き冬北斗
指先と耳の冷たい夜明け前
元気出て高速歩行冬の雨


響焔2016年4月号(No.574)

青焔集

冬の旅    (横浜)米田 透

雪雲に突っ込んで行く航空機
氷点下携帯電話しかと待つ
平然と雪かき車両往来す
冬の旅あっという間に終わりけり
円卓に全員揃い新年会


響焔2016年5月号(No.575)

青焔集

春の雨    (横浜)米田 透

ビーフカレーをゆっくり煮込み春隣
アメリカからの帰還者迎え春の月
春の野を歩いて後の朝ご飯
絵のようなフレンチディナー春の雨
(奈良岡晶子抄出)
アーモンドを少し炙って浅き春


響焔2016年6月号(No.576)

青焔集

白木蓮    (横浜)米田 透

冴え返る訪ねし寺は休館日
白木蓮黙祷の後パスタ食う
(奈良岡晶子抄出)
春雨や囲碁会ランチ一万歩
エチオピア産珈琲の豆お中日
個人番号カードを受領春めきて


響焔2016年7月号(No.577)

青焔集

白木蓮    (横浜)米田 透

オムレツに挑戦桜開花報
(奈良岡晶子抄出)
春の雲蔵書の一部売りに出す
あたたかや雨戸の滑り改善す
アメリカとテレビ電話や暖かし
春の海釣果無しでも癒されて


響焔2016年8月号(No.578)

青焔集

夏の雲    (横浜)米田 透

山躑躅甲羅干しする池の亀
みどりの日雲一つ無く青い空
勝ち負けはどちらでもよし夏の雲
若葉風昔話と紹興酒
新しいカーテン設置五月かな


響焔2016年9月号(No.579)

青焔集

日傘    (横浜)米田 透

六時二十五分テレビ体操南風
(奈良岡晶子抄出)
大南風ビルの谷間の神輿かな
ラグビー部掛け声女性初夏の風
灯籠流しニライカナイと交流す
男でも堂々と差す日傘かな


響焔2016年10月号(No.580)

青焔集

夏の月    (横浜)米田 透

高齢者講習終えて夏の雲
これという予定の無い日半夏生
都会から自宅に戻り西瓜食う
(沖みゆき抄出)
古いほど記憶鮮明夏の月
開祖の忌夏の満月煌々と


響焔2016年11月号(No.581)

青焔集

おとなさまランチ    (横浜)米田 透

梅雨の明け真っ青な空白い雲
ポークカレーの肉に難点月涼し
東尋坊を見上げる視線晩夏光
おとなさまランチなるもの夏の森
象徴としての天皇終戦忌


響焔2016年12月号(No.582)

青焔集

さわやかな朝    (横浜)米田 透

激戦のテレビ対局雨月かな
さわやかな朝足取りもかろやかに
秋暑し金曜の夜の麻婆茄子
台風接近雨靴はいて寺に行く
台風の末期温帯低気圧

特別作品(9句)

秋夕焼    (横浜)米田 透

秋初め鮪としらすの二色丼
防災の日レシピ片手に親子丼
九月来て特別乗車証もらう
玉突き式にキッチン整理虫の声
美術展の写真百枚涼新た
帯状疱疹二年目に入る九月かな
カット刃の珈琲ミルや秋めきて
秋夕焼七十歳はめでたいか



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