米田透 俳句集(2012年)

響焔2012年1月号(No.523)

青焔集

暮の秋    (横浜)米田 透

再会は秋の金曜ホテルロビー
野外パーティ釣った魚も焼いて食い
フランス製鍋を開ければおでんかな
晩秋やハヤシライスに赤ワイン
暮の秋いのちに保険かけ直し


響焔2012年2月号(No.524)

青焔集

銀杏黄葉    (横浜)米田 透

十三の小さな地蔵梅擬
巡礼の階段に句碑紅葉山
冬の温泉上の世代は高齢に
銀杏黄葉入園無料の入口へ
山茶花や会社構内ひっそりと
(川嶋悦子抄出)


響焔2012年3月号(No.525)

青焔集

クリスマス    (横浜)米田 透

初時雨肝心なもの置き忘れ
後で知る皆既月食十二月
湯豆腐鍋平穏無事を感謝して
橇の鈴自転車の鈴夢の中
天上も地上もすべてクリスマス


響焔2012年4月号(No.526)

青焔集

脱力    (横浜)米田 透

指先の出る手袋を見つけ買う
(河村四響抄出)
納会や厳しい年のあれやこれ
円形に枯野を歩き脱力す
(山崎聰、芝崎綾子、加藤千恵子抄出)
がん手術体験談など新年会
大寒や憑かれたようにウォーキング


響焔2012年5月号(No.527)

青焔集

円卓    (横浜)米田 透

具沢山の豚汁旨し一月尽
節分や鬼は自分の中におり
妻用に春の花束作らせて
洋風の朝食も良し春めけり
円卓に拡大家族浅き春


響焔2012年6月号(No.528)

青焔集

ひな祭    (横浜)米田 透

春の雪とまどっているインド人
ひな祭娘の挙式近づいて
川堤を一万歩まで初桜
雑穀のお粥を試作彼岸入
春暁や遊水地までウォーキング


響焔2012年7月号(No.529)

青焔集

雲突き抜けて    (横浜)米田 透

川堤空いっぱいの桜の芽
春の野や次々帰る野球の子
(加藤千恵子抄出)
名園の桜開花の知らせ来て
たこ焼の屋台など出て花八分
春の雲突き抜けて飛ぶ中型機


響焔2012年8月号(No.530)

青焔集

青葉若葉    (横浜)米田 透

晩春や隣家に伸びた枝を切り
揚雲雀戸籍抄本米国へ
(加藤千恵子抄出)
こどもの日森閑とした美術館
忘れ物やっぱりひとつ夏の空
青葉若葉子の結婚の写真集


響焔2012年9月号(No.531)

青焔集

荒梅雨    (横浜)米田 透

麦の秋お好み焼きで会話して
百匹のいわしが釣れて夏の風
(芝崎綾子抄出)
六十代若さも少し夏初め
茹で卵つるりと剝けて夏の月
荒梅雨や平常眼の不動像


響焔2012年10月号(No.532)

青焔集

カップルで    (横浜)米田 透

豪州産牛肉を噛み男梅雨
金曜はリタイア気分冷房車
日暮れ前赤詰め草と犬と人
明け方に豪雨七月十四日
冷やしたワイン再会はカップルで


響焔2012年11月号(No.533)

青焔集

露天風呂    (横浜)米田 透

新社屋への出勤初日油蝉
夕食はやりくり料理終戦日
新涼の山々深く露天風呂
旅終り残暑厳しき下界かな
深煎りの珈琲の豆暑い秋


響焔2012年12月号(No.534)

青焔集

筋肉    (横浜)米田 透

退勤は好きな門から法師蝉
六十代の放談秋の六本木
(沖みゆき抄出)
肩車させてもらって納涼祭
(石井和子抄出)
初めての法衣着用秋彼岸
晩秋や我が筋肉が若返る



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