米田透 俳句集(2009年)
響焔2009年1月号(No.487)
白焔集
秋 (横浜)米田 透
酢と重曹の化学実験虫の声
秋の風邪不本意ながら寝込みけり
秋の病院母の手を握るだけ
台湾から女性の社員金木犀
ていねいに寺の清掃秋深し
響焔2009年2月号(No.488)
白焔集
旅券 (横浜)米田 透
晩秋や枝を短く切る仕事
(山崎聰抄出)
冬の始め十年ものの旅券かな
冬ズボンの裾できるまで本漁る
ウォーキング区間を増やし芋煮汁
一万と二千歩あるき冬の雨
響焔2009年3月号(No.489)
白焔集
冬の旅 (横浜)米田 透
冬の月本屋を二軒はしごして
納棺の母楽譜抱き冬の旅
四十年昔に戻り冬の通夜
(石井和子抄出)
骨焼けるまで導師の相手冬の空
黒猫が尻尾を噛まれ十二月
響焔2009年4月号(No.490)
白焔集
乙丑 (横浜)米田 透
門灯のランプ交換冬北斗
乙丑母亡き後のお正月
成人の日平成生まれおめでとう
新年会色々な危機話し合う
パン買いに電車に乗って寒の入
響焔2009年5月号(No.491)
白焔集
蕗の薹 (横浜)米田 透
春隣散歩の道に日がさして
妻ありてバレンタインのチョコレート
蕗の薹の天ぷら揚げて妻元気
湯豆腐と今日のできごと猫もいて
遺伝子についての話春きざす
響焔2009年6月号(No.492)
白焔集
雪柳 (横浜)米田 透
蔓日日草仏教の学習会
(茂木恭子抄出)
異体字の入力できて朧かな
息子作キャベツのスープ雪柳
お台場のホテルにチャペル彼岸かな
血液の数値改善桜に芽
響焔2009年7月号(No.493)
白焔集
朝桜 (横浜)米田 透
公園を覆うがごとく朝桜
散る桜六十二歳出勤す
猫という命のかたち残花かな
晩春や映画の中のパリ景色
木香薔薇から元気をもらい木曜日
響焔2009年8月号(No.494)
白焔集
開眼 (横浜)米田 透
晩春の晴耕雨読本を読む
北京四月涅槃尊像開眼す
ゴミと言っても花びらぐらい夏近し
みどりの日はらぺこあおむし展覧会
卒業生帽子を投げて聖五月
響焔2009年9月号(No.495)
白焔集
七変化 (横浜)米田 透
夏の日曜錆びない釘を買いに行き
退勤は山越えルート七変化
六時帰宅色とりどりの夏野菜
十人中自適三人梅雨晴間
梅雨曇中華料理に赤ワイン
響焔2009年10月号(No.496)
白焔集
蓮の花 (横浜)米田 透
七月や朝のひとこと若者へ
文庫版「海辺のカフカ」七変化
廃材の切り揃えなど梅雨の雲
蓮の花生糸長者の夢の跡
台湾の精進料理百日草
響焔2009年11月号(No.497)
白焔集
みんみん蝉 (横浜)米田 透
立秋やパソコンで聴くアラビア語
(松田起子抄出)
みんみん蝉天上からか出勤す
存命は妻の母のみ帰省せり
台風接近猫死んで四箇月
高句麗の建国ドラマ千日紅
響焔2009年12月号(No.498)
白焔集
精進潔斎 (横浜)米田 透
前向きに朝の一言孔雀草
(新井温子抄出)
初めての出口調査や八月尽
台風接近政権が交代す
(松田起子抄出)
放送に耳傾けて震災忌
明日からは精進潔斎上り月