米田透 俳句集(2008年)
響焔2008年1月号(No.475)
白焔集
赤とんぼ (横浜)米田 透
半月や胡麻のおはぎをひとつだけ
水曜の定時退勤赤とんぼ
体育の日どこにも行かず千歩かな
秋の雨とても大きなハンバーグ
巡回の守衛に会釈いわし雲
響焔2008年2月号(No.476)
白焔集
冬北斗 (横浜)米田 透
鶏肉とキャベツのスープ冬に入る
着膨れて昼食あとのウォーキング
塩の効いた鶏の丸焼き冬至かな
柿を食う四分割の四つとも
冬空にツインタワーのオフィスビル
響焔2008年3月号(No.477)
白焔集
十二月 (横浜)米田 透
男ゆえ役に立つこと十二月
(北登猛抄出)
冬の雨徒歩通勤に切り替えて
父方のルーツ情報冬北斗
クリスマスイブ和風で決めて日本人
天ぷらの準備手伝い晦日蕎麦
響焔2008年4月号(No.478)
白焔集
コック・オ・ヴァン (横浜)米田 透
話し合う今日のことなど鶏雑炊
成人の日初挑戦のコック・オ・ヴァン
牛肉でごぼうが巻かれ寒の月
ブレーカー何度も落ちて寒い夜
見ていても見えぬものあり冬土用
響焔2008年5月号(No.479)
白焔集
梅の花 (横浜)米田 透
観音が一歩足出す二月かな
今日よりは精進潔斎おでん食う
手をさするだけの会話や春の雲
床ずれ防止ベッドなるもの梅の花
歩くのが速くなりけり風光る
響焔2008年6月号(No.480)
白焔集
春 (横浜)米田 透
順番に寿命が尽きて沈丁花
明るいというありがたさ春の朝
食べた後のメロンのように春の月
魂の抜け殻の骨白木蓮
うららかや一病ありて息災で
響焔2008年7月号(No.481)
白焔集
エイプリルフール (横浜)米田 透
エイプリルフール嘘をつく余裕なく
血を採られバナナを食べて花曇
衆生にもたっぷりの雨仏生会
(北登猛抄出)
病院の栄養指導チューリップ
しあわせは身近にありて浅蜊汁
響焔2008年8月号(No.482)
白焔集
走り梅雨 (横浜)米田 透
黄金週間六十代の過ごし方
早起きの猫に戸を開け走り梅雨
電線に十羽の鴉夏の朝
手回しの珈琲挽き器夏めきて
青葉若葉太目の男とすれ違う
響焔2008年9月号(No.483)
白焔集
摩天楼 (横浜)米田 透
米語でもフレンチフライ夏の空
摩天楼の八十六階夏帽子
地下道の太鼓演奏強冷房
サングラス似合う女性や蚤の市
トルコ式コーヒーの泡六月尽
響焔2008年10月号(No.484)
白焔集
日付変更線 (横浜)米田 透
日付変更線夏の夢終わる
盂蘭盆会皆息災の同期会
有機栽培コーヒーの味クールビズ
開祖の忌天の底抜け梅雨明ける
(北島洋子抄出)
歓楽と歓喜の違い夏の寺
響焔2008年11月号(No.485)
白焔集
百日紅 (横浜)米田 透
七人の団塊世代夏の宴
選択はヘルシーメニュー日日草
十年分の自分の整理百日紅
父方に漁師の先祖水施餓鬼
(北島洋子抄出)
色々な蝉いろいろな叫び方
(石井和子抄出)
響焔2008年12月号(No.486)
白焔集
大日如来 (横浜)米田 透
修羅の世と大日如来ギンヤンマ
自転車で風切り進む月夜かな
きりぎりす人間ドック無事終わる
台風接近祝ってもらう誕生日
深む秋父らしきこと少しして
(石井和子抄出)