米田 透 短文集 2000年4月分
短文集 Indexへ戻る
短文のタイトル一覧
2000年4月30日(日)
カルト・グリース
フランスでは、車の所有者は常にカルト・グリースという書類を持って運転しなければなりません。カルト・グリースとは、灰色のカードという意味のフランス語で、実際に灰色の紙に車固有の情報、所有者の情報がプリントされています。事故の時、車検や修理の時に見せる必要があります。
2000年4月29日(土)
警察
私はこれまでに2回、警察に行きました。1回目は車を当て逃げされて、その被害届を出した時。これは、修理代を保険で支払うために保険会社が警察による証明書を要求したからです。もう1回は、日本から来た友人がパスポートを盗まれたため、再発行をパリの日本大使館に依頼するために、パリの警察発行の書類が必要だったからです。
なお、フランスの警察には、ポリスの他に、ジャンダムリという軍関係の警察組織があって、この両者の間で担当地区を決めています。
2000年4月28日(金)
車検
フランスに長く駐在していると色々なことが起こります。車検のシステムをよく理解していなかったため、気がついた時に車検が切れていました。検査の結果、左右のブレーキの利きのバランスがくずれているということになり、修理を終えて再度車検を受けるという手間がかかりました。
2000年4月27日(木)
事故
フランスでの交通事故では、人身事故に至らない車の損害の場合、示談書を作って両者が署名し、その後はお互いの保険会社が事務的に処理するというしかけがあります。右折レーンにいた車が直進したため、私はその車と接触事故を起こしましたが、相手の書いたいいかげんな紙に安易にサインしたため、ひどい目にあいましたが、最終的に折半で収拾できました。
2000年4月26日(水)
自動車税
フランスでは毎年11月にタバコ屋で、ヴィネットというワッペンを買うことによって自動車税を払います。排気量の大きい車ほど高く、新しいほど高い、という傾向があります。
2000年4月25日(火)
修理
プジョーの販売代理店は、修理もやってくれます。修理に要する時間は内容にもよりますが、軽いものでは、朝持って行くと夕方までにやってくれる、という場合が多いです。車が動かない場合は、出張して来てくれます。どうにかエンジンがかかれば、店まで車を移動して修理してもらいます。バッテリーがあがってしまい、一度このサービスの世話になりました。
2000年4月24日(月)
定期点検
定期点検は、新車購入後、3か月後、1万キロm走行ごととか、プランを決めて行います。私はプジョー405という車をプジョーの販売代理店から買いましたが、定期点検もこの店でやってもらいます。予約が必要ですが、朝出せば夕方できています。
2000年4月23日(日)
ワイパーの交換
ワイパーのゴムに寿命がきた場合どうするのかと、フランス滞在の長い日本人に聞くと、スーパーで適合する部品を買い、自分で交換するのが普通だとのこと。買うまでは易しいですが、実際の交換は知恵の輪のようなところがあり、そう簡単ではありません。不器用かと思ったフランス人もよくやっているな、と思います。
2000年4月22日(土)
給油
フランスの給油ステーションは基本的にセルフサービスです。支払いは自動機によるものもありますし、人間が対応してくれるところもあります。コンビニ風の売店で支払いをするしかけが普及していますが、大型スーパー付属の給油ステーションなどは専用の料金所があります。自動機による支払いは、クレジットカードで行いますが、機械がフランス語を表示したりしゃべったりします。
2000年4月21日(金)
左ハンドル
フランスの車は、日本と違い左ハンドルです。ところが、同じ欧州の中でも英国は右ハンドルなのでややこしいですね。
さて、左ハンドルの車を運転すると何が起こると思いますか。アクセルの代わりにクラッチを踏むということは起こりません。クラッチ、ブレーキ、アクセルの位置は、右ハンドルの車となぜか同じです。ワイパーと方向指示器が逆になっています。したがって、方向指示をしようとするとワイパーが動くというのが正解です。
2000年4月20日(木)
右側優先
日本の道路は通常直進が優先だと思うのですが、フランスにはそうでない場合があって非常に危険です。右側から飛び出してくる車が優先という理不尽な場所があります。よく見ると三角形の中に×印の標識があります。これがある時は右側から入ってくる車を待たねばなりません。
2000年4月19日(水)
制限速度
フランスの道路の標準的な制限速度は次のとおりです。市街地は時速50km、郊外は時速90km、高速道路は時速130km。一般に制限速度の20km増し位で走っていますから、日本に比べると相当速いということができますね。たまに日本に帰ると車が徐行しかしていないように感じられます。
なお、ドイツには速度制限がなく、車の性能に応じた速度で走っています。ドイツからオランダに出ると速度制限があるので、スピード違反でよくつかまるとのことです。
2000年4月18日(火)
霜
次の試練はフロントグラスの霜でした。運悪く初めて車で出勤した日は急に冷えた日で、車は窓ガラスが霜で覆われていました。ところが、ヒーターが効かない車だったのです。エアコンなどあるはずのない車でしたので、ヒーターだけが霜取りの頼みの綱でした。視界の利かない状態で運転しなければならなかったので、生きた心地がしませんでした。
2000年4月17日(月)
ロータリー
フランスの交差点には、ロータリー形式のところがけっこうあります。信号機がまったく無いロータリーが基本で、交通量が多いところには信号機が併用されることもあります。パリの凱旋門のところもロータリーになっています。
私がオルレアンで運転を開始したその日、私はロータリーで目的の出口から出ることができず、パニックになった私は次の出口から出てしまいました。途中でUターンしてこようと思ったのです。ところが後から車がどんどんついてくるのでなかなかUターンの場所を探すことができず、一方通行も多いので、とりあえずは一方通行の逆を行かないようにと他の車の後をつけてとにかく走っているという状態になりました。もはや完全に道に迷った状態です。泣きそうになって走っている内にそれでもどうにかこうにかもとのロータリーの付近まで戻ってくることができました。駐車もすることができたので、地図を人に見せて、「私は今どこにいるの、私はここに行きたい」と聞いたら親切な人がいてていねいに教えてくれました。しかし、後で聞いたら、ロータリーで出そこなったらもう1周回ればいいんですよ、と人から言われて納得しました。
2000年4月16日(日)
フランスでの車の運転
フランスで車を運転しなければならないことになりましたが、当時は何も指導はなく、「フランス人は運転が上手だから向うが避けてくれるから大丈夫」とか言われて恐る恐る運転を始めました。最近では、運転免許取得勉強用のCD-ROMが発売されていて、この場面ではどうすべきでしょう式のリアリスティックなビデオ学習ができるようになっています。フランス語でしゃべるのが問題ですが、無いよりましです。
さて、物事は慎重に段階を踏んでという訳で、最初はオートマのレンタカーで、道に慣れようかと思いました。その頃住んでいた長期滞在型ホテルから会社までの16kmくらいの通勤路の往復が当面の課題でした。またたく間に最初の試練がやってきました。それは、ロータリーと霜対策です。詳細は明日にします。紙芝居屋さんになった気持ですね。
2000年4月15日(土)
フランスで車を買う
フランスで車を買ったときは色々とカルチャーショックを覚えました。まず、オートマティック車というのが無い。レンタカーにしても、オートマはパリにしかない、なんていう始末です。オートマだと日本に帰る時にだれも買ってくれる人がいないよという脅し文句に負けて、結局マニュアル車を買いました。エアコンをつけたいと言うと、フランスではエアコンは要らないと言う返事。なんという顧客ニーズを無視した態度、納期が遅くてもいいと言ってつけさせました。最後に、色を選べと言う。そんなの白でいいよ、と言うと、白は色と言わない、何か色を言えという返事。どういう国かと思いましたね。墨絵の世界などは到底理解できない連中の国に来てしまったかと思いました。それで、私のプジョー405の色は銀ネズミ色になりました。まだありました。保険を掛けるには、アラームシステムを装備しなければならない、と言うんです。車泥棒王国なのかもしれません。ホンダの車を鍵を掛けた車庫から盗まれたフランス女性が同じ職場にいますが、発見されたのはスペインでした。アラームシステムをつけたのはいいのですが、とんでもない時に作動して困ります。腫れ物に触るように付き合っています。
2000年4月14日(金)
パリでの駐車
自家用車はオルレアンのような地方都市に住む者にとっては重要な生活手段です。通勤・買物・近場の旅行に大変役に立ちます。一方で、色々と危険が待ち受けています。何かトラブルがあったらまず言葉で困ります。平均的フランス人は英語が話せません。こちらはフランス語は限られた標準パターンしかしゃべれません。私がなぜパリまで自分の車で行かないか。理由は、リスクの最小化、一人なので不経済、迷う、ガソリンを食う、疲れる、駐車場がないというようなことになります。そこで、私はオルレアンの駅の無料駐車場にプジョー405というフランス車を留めて列車でパリ・オーステルリッツ駅まで行きます。1時間で着いてしまうのですから、横浜から東京に出るような感覚です。
さて、恐怖のパリの駐車事情は、百聞は一見に如かずです。道の片側が駐車スペースになっているところが多いですが、車と車の間隔がほとんど無いのです。バンパーというものの使い方が日本とフランスでは違うようです。日本の場合は、衝突した場合の緩衝材のようですが、パリでは、駐車のときに他の車を少し押し込むために使っているようです。日本でそういうことをやるとたちまち喧嘩になるんではないか、という気がします。
2000年4月13日(木)
ジブレ・ド・マルス
「ジブレ・ド・マルス」はフランス語で、「春先の冷たいにわか雨」のことです。「ジブレ」はあられや雪を交えたにわか雨、「マルス」は「3月」のことです。3月と限らず4月に入ってからもジブレは降ります。良く晴れているなと思っていると突然暗くなってきてあられや雨を降らしまた上がるといった極めて変わりやすい天気です。この雨は長続きせず、傘がなくともちょっと雨宿りをしていればすぐ止みます。
2000年4月12日(水)
鍵社会
フランスの住宅というのは、塀や門がちゃんとあります。集合住宅の場合も共通の出入り口に暗証番号を入れるキーが備えてあって、住人以外は自由に中に入れないしかけになっています。日本の住宅はその点無防備な感じがします。では、来客があった場合はどうするかと言いますと、いかに集合住宅であったとしても外から特定の住人の住居用のブザーを押せるようになっていて、インターフォンで話ができたり、扉を開いたりできるようになっています。カメラで訪問者の人相等を確認できるようになっているところが多いのではないかと思います。鍵でプライバシーと安全をしっかり確保するというのがこちらのやり方のようです。
2000年4月11日(火)
ストライキ
フランスのストライキは堂々としています。交通機関のストライキは本当に困ります。パリのメトロやバスが1か月くらい止まってしまったことがありました。人々は、車の相乗り、ヒッチハイク、自転車、ローラースケートなどで対応しました。日本では1日やるのがやっとのようなストライキを1か月続けることができるのですから、フランスは偉大な国です。また、航空会社でも従業員がよくストライキをやります。パイロットも平気でやります。空港や鉄道の駅の掃除をする人達のストライキはどうしても好きになれません。床に汚いものを撒き散らかして、ことさらに汚くして見せるのです。高速道路を麻痺させて困らせるのは、トラック野郎達です。その他農民や漁民のストライキなどもありました。それぞれ言い分があってのことなので、人々の態度はただ怒るというよりは多少は同情するようなところが見られます。権利主張ということでは、先進国なのですね。
2000年4月10日(月)
日曜日
フランスの日曜日は休息日です。店もほとんどが閉じてしまいます。日曜はデパートでお買物という訳にはいきません。デパートも閉まってしまいます。その代わり土曜日は買物日に当てられます。銀行まで土曜日に開店していますから徹底しています。さて、日曜日は親しい人を訪問したりして、ゆったりとプライベートな時間を過ごすのがフランス人のリズムになっているようです。そのために花屋だけは何軒か開いています。また、何軒かのパン屋、カフェ等人間が住んでいる限り必要な店は少し開いています。ただし、年中無休を経営方針としているハンバーガーショップなどは開いています。
2000年4月9日(日)
ジビエ
フランスは、狩猟の盛んな国です。昔は王侯貴族の大切な行事だったようで、狩の様子を描いた絵やタピスリーなどを美術品として観ることができます。現代においても、狩猟は行われているようで、秋になるとレストランのメニューにジビエというのが出てきます。これは、狩の獲物のことで、野鳥や猪や鹿の類です。流通機構が確立しているのでしょうか、我々の口にも入るようになっています。ロワール渓谷のワインなどを選び、しばし王侯貴族の気分を味わうのであります。
2000年4月8日(土)
鮭
フランスでは美味い鮭が食べられます。何故か寿司ネタにもなっています。日本だと寄生虫がいるとかで生の鮭を食べないと思うので、不思議です。また、スモークサーモンもポピュラーですが、ややぜいたく品の扱いのようです。
2000年4月7日(金)
兎
フランスでは兎を食べます。というと、なんと野蛮な、という声が上がると思いますが、実は日本の中でも兎を食べる地方があるらしいのです。兎の肉はどちらかというと鶏肉に近い感じです。兎を数えるときに、何羽というのは、日本人が兎を食べて来た証拠だと私はにらんでいるのですが、どうでしょうか。
2000年4月6日(木)
焼き魚
フランスでは、一般に焼き魚は食べられません。パリのスペイン料理の店で焼き魚にありついた時は感動的でした。ましてや、秋刀魚の塩焼きを大根おろしで食べるなどという贅沢三昧は夢のまた夢です。最近は真空パックに入った秋刀魚の焼いたものなどがありますが、ふにゃっとしていて侘しい限りです。では、フランス人は焼く料理をしないのかと言うと、バーベキューはやるんです。木炭なんかもちゃんとあって、肉やソーセージや野菜を焼いて食べます。
2000年4月5日(水)
馬
フランスはすごい国だと思ったのは、趣味として馬を飼って、乗馬を楽しむ人がいることを知った時です。別に貴族の家柄でもなく、若いソフトウェア技術者がそういうことをするのです。彼はヴェルサイユの住人で、「馬で散歩すると日本人の観光客が写真を撮るんだよ。」とか言っていました。さて、猫や犬でもペットフードの買出しで苦労するのに、鯨飲馬食と言われる大食いの馬の餌を買うのは大変だろうと思います。また、フランス人はバカンスが大事です。馬を連れてバカンスに行くんです。乗用車の後に馬運搬用の車をつないで堂々と高速道路を走るのですから感心します。
2000年4月4日(火)
犬
割と高級なレストランに行ったときに驚いたのは、犬を連れたお客さんが、悠々と犬をテーブルの下で待たせておいて食事をしていたことです。フランスの犬は概して大人しくて、小さな子供よりは歓迎されるみたいです。列車の中にも時々いますが、必ずしも盲導犬ではないようです。日本では禁止されていることが多いと思いますが、アパートの中で飼う人も多く、エレバーターからまず犬が出てくる、というような光景も見られます。
2000年4月3日(月)
女性優先
レストランに女性と男性の混合のグループで行ったとすると、社会的地位と無関係に、女性客が優先的ににサービスされます。日本女性がなぜフランス人男性と結婚してフランスに定着してしまうか、その鍵は、居心地の良さではないかと思います。か弱き女性を助けるのは紳士の勤めというような伝統が今なお生きています。フランスのスーパーには、これからママになる人の優先レジが置かれているところがあります。子作りをそういう形で促進している点については、日本でも参考にすべきだと思います。
2000年4月2日(日)
チーズ
フランスはチーズ大国ですが、漬物はあまり発達していません。小さい胡瓜のピクルス一本槍です。さて、チーズというと、まず原料による分類があり、牛乳チーズ、クリームチーズ、山羊乳チーズ、羊乳チーズがあります。それから、生チーズか発酵チーズかという分類があります。発酵チーズはさらに軟質チーズと硬質チーズに分類されます。皆さんおなじみのカマンベールは、牛の乳から作られた軟質発酵チーズで、表面に白かびの生えたチーズということになります。レストランでの食事の時は、色々な種類のチーズを載せたワゴンを持ってきて、お客の希望のチーズを少しずつ切って皿に載せてくれます。スーパーに行ってもチーズ売り場は豪華です。本日のお買い得チーズというようなコーナーもあります。
我々が漬物をご飯やお茶と一緒に口に入れるごとく、フランス人は、チーズをパンやワインと一緒に口の中に入れて、その微妙な混ざり具合を楽しみながら食べるのであります。皆さんもぜひお試し下さい。
2000年4月1日(土)
ミルク
フランスに赴任してすぐの頃パリのハンバーガ屋さん(マクドナルドではなくてクイックという名前でした)で、ハンバーガとミルクを頼もうとしてうまくいきませんでした。昼間に大人がミルクをハンバーガと一緒に注文するのは珍しいようです。大人がミルクを飲むのは朝で、コーヒーと混ぜてカフェオレにするのです。入れ物はカフェオレ・ボールと言いますが、日本の丼と同じような大きさです。昼や夜に大人が食べるのは、チーズやデザートのヨーグルトです。スーパー等に行くとチーズやヨーグルトの売り場の方がミルクそのものの売り場より大き感じがします。小さいスーパーではロングライフのミルクしかおいてありません。ロングライフにせよ新鮮なミルクにせよ、完全なミルク、脱脂乳、その中間の半脱脂乳の三種があって、分かり易く色分けされています。私は半脱脂乳を買っていましたが、この頃はチーズとヨーグルトしか買わないようになってしまいました。新聞とミルクの配達のある日本は特殊な国かもしれません。
以上