米田規子 俳句集(2026年)
響焔2026年1月号掲載
名誉主宰作品
ふゆざくら 米田 規子
上野秋色ほろ苦いチョコレート
ゴッホ展横目に秋冷しのびよる
いつまでも語り晩秋大きな木
ここよここよ落葉の走る南口
白髪も杖もいとしき小春の日
はつ冬の雲湧きカフェの二人かな
冬の灯やリュックふくらむ帰りみち
エプロンの紐をきりりと初しぐれ
しあわせのかたちはなくて実南天
リハーサル終え唐突に十二月
響焔2026年2月号掲載
名誉主宰作品
ヨコハマの空 米田 規子
そのままでいい小さく群れて冬の菊
描くならば明るい未来クリスマス
蝦蛄葉仙人掌あかあかと肉を焼く
散り急ぐ紅葉ななめに丸の内
パンジー・ヴィオラ発表会の朝の色
ヨコハマの空の明るさ枯木坂
一年を生きのび枯野発光す
クリスマスカクタスひっそりと一家族
風の音する切干大根ちりぢりに
初富士にひとすじの雲動かざる
響焔2026年3月号掲載
名誉主宰作品
裸 木 米田 規子
小寒や夕映えの街赤い屋根
目の検査終え裸木のシルエット
煮豆ことこと冬の灯を近付けて
晩節のそこここ寒く人を恋う
枯木星はちみつれもんに湯を注ぎ
猫のポーズからだ丸ごと冬日中
はげましと真冬のレモン友遠く
砂糖壺のさとう減りゆき冬の家
よれよれの靴にさよなら冬木の芽
七十路の髪あわあわと光り春
響焔2026年3月号掲載
名誉主宰作品
明日咲く 米田 規子
ショコラの日愛のスパイス効かせましょ
裸木にせきれい遊び稿急ぎ
珈琲と白紙に届く春の光
約束の日の春風とひつじ雲
笑い出しそう明日咲くクロッカス
ふいても拭いてもピアノに戻る春塵
まっすぐに目と目が合いぬ紅椿
春の闇かきはじめから躓いて
春雷やグランドピアノのカーブに傷
頭(ず)の中のこんがらがって三月来