米田規子 俳句集(2009年)
 

響焔2009年1月号掲載

青焔集

栗の毬 (横浜) 米田 規子

ぼんやりと返事している秋の波
公園のがらんと真昼秋桜
風の中の二人そこここ栗の毬
ドレス着て十一月の透明感
(内田秀子抄出)
責任のずっしり重くレモンの香


響焔2009年2月号掲載

青焔集

実南天 (横浜) 米田 規子

この先の大きな揺らぎ実南天
東京の風のかたちに枯葉舞う
(秋山石声子抄出)
切れそうな冬の三日月猫を抱く
冬薔薇ほんとうのこと知っている
人の死や蜜たっぷりと冬林檎
(内田秀子抄出)


響焔2009年3月号掲載

青焔集

冬銀河 (横浜) 米田 規子

電車からどっと人間冬銀河
一本のキャンドル灯る寒さかな
ベルガモットの香り一滴冬の星
冬の日のすとんと空地ニュータウン
(秋山石声子抄出)
自由と不自由熱燗をもう一本


響焔2009年4月号掲載

青焔集

パンジー (横浜) 米田 規子

少女らの笑いが弾け寒日和
梅がほころび階段を一歩一歩
水仙の香りなにやかや遠くなる
パンジーに風遥かなるタスマニア
華甲とは春の渚に犬走り
(森村文子抄出)


響焔2009年5月号掲載

青焔集

あいまいに (横浜) 米田 規子

疾走の真っ赤なバイク冬木の芽
(小林実抄出)
あいまいに春来て大皿のパスタ
(森村文子抄出)
春風の海岸通りカフェに犬
出航の汽笛の太く春しぐれ
永き日や現在位置を確かめて


響焔2009年6月号掲載

青焔集

さくら (横浜) 米田 規子

こごめ・たらの芽年取って元気なり
茫然と荒野に佇ちぬしゃぼん玉
さくら満開乗り換えて日常に
(小林実抄出)
ワイン飲み我らの春を遊ぶなり
剪ってより椿の重さ月日かな
(森村文子抄出)


響焔2009年7月号掲載

青焔集

若葉風 (横浜) 米田 規子

仮面舞踏会皓皓と春の月
(小林実抄出)
問われて答う青空に桜咲き
コーヒーの香りが好きで花曇
言葉欲してことば失う若葉風
柿若葉たっぷり朝のミルクティ


響焔2009年8月号掲載

青焔集

さくらんぼ (横浜) 米田 規子

春逝きぬ葉っぱ一枚ずつに雫
かがやける母の歳月さくらんぼ
珈琲に金のスプーン走り梅雨
みんな揃って夏の日の樫大樹
(小林実抄出)
異国にておにぎり二つ青嵐


響焔2009年9月号掲載

青焔集

風 (横浜) 米田 規子

しんがりは楽し十薬花明り
(小林実抄出)
今年竹きれいな風を胸の中
東京のむかしを歩き花菖蒲
追憶のきらきらきらと夏野原
(森村文子抄出)
美しき風と歩いて夏大樹


響焔2009年10月号掲載

青焔集

夏の森 (横浜) 米田 規子

曇天にサルビア燃えて研究所
夏の森空気のようにすれ違う
たまわりて自由と孤独蝉時雨
(奈良岡晶子抄出)
八月の青空大きな円の中
(山崎聰抄出)
夏の海ははのおにぎり玉子焼


響焔2009年11月号掲載

青焔集

仏桑花 (横浜) 米田 規子

逢うときのためらい少し仏桑花
(奈良岡晶子抄出)
アロマセラピー緑蔭に風の道
キャンバスに線の氾濫晩夏光
百日紅百日想いある別れ
混沌や青い団栗散らばって


響焔2009年12月号掲載

青焔集

すこし離れて (横浜) 米田 規子

ほのぼのとたわいなきこと秋茄子
試行錯誤して冬瓜の真っ盛り
唐辛子すこし離れて考える
(半澤つや子抄出)
黄落やダウンロードして未来
(奈良岡晶子抄出)
黒髪を束ねて軽し秋桜


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